スタートアップ系外資ファイナンスマンのブログ

2度の起業→失敗を経て、世界最強と言われる外資系メーカーでファイナンスをやっとります。スタートアップと外資系メーカーのファイナンス、2つの視点から色々と考えていきます。

企業の経理・会計が事業に価値を生み出すためのプロセス

 

少し前にこんなツイートをしました。

 

 

というのも僕自身が現職に就く際の日本法人兼アジア統括CFOとの1on1で、事業におけるファイナンスの意義や貢献はどのように行われるべきなのか?といった趣旨の質問をしたことがありました。その時にCFOが彼自身のキャリアで経験したことを交えながら、上記のように、ファイナンスがビジネスパートナーとして事業にインパクトを与えていく過程をモデル化して知ることを教えてもらい、目から鱗だったのを今でもよく覚えていたのです。

 

今回は、このツイートにもあるような6段階のファイナンスの役割について、更に詳しく説明していこうと思います。

 

ここで説明するのは一般的な日本企業における経理や財務部門、経営管理部門が本来担うことが企業内のリソース最適化の意味でも理想であると個人的に思っていますが、残念ながら多くの場合そこまで頑張ってる管理部門の人を見かけないのです、、、

 

 

The Process of Finance Inpact on Business

経理・財務・経営管理などの広義でのファイナンス部門が事業に対してインパクトを持つ過程について説明していきます。

 

①Safe & Secure(Controllership)

これはすなわち会社を財務的に、主観的にも客観的にも確固たる状態にすることであるといえます。そのための基礎となるのが会計知識を用いた経理業務であり、会社の経理機能を整える事なしにファイナンスによる事業価値を生み出すことは難しいとも言えます。

経理を一歩進むと例えば内部統制など、社内の様々な機能的整合性を保ち、クリーンな状態にすることも1段回目のステップに含まれています。

 

ここらへんについてより詳しく知りたい方は安本さんが書いたこの本をおすすめします。スタートアップの場合は経営者が読むと社内で経理部門をただの記録屋にさせずに済むこと間違い無しです。

 

 

ユニクロ監査役が書いた 強い会社をつくる会計の教科書

ユニクロ監査役が書いた 強い会社をつくる会計の教科書

 

 

 

②Analysis

①のSafe & Secure、経理で正確に回収した情報をもとに分析を行うのが2段階目です。会計学的に言うならば、①が財務会計、②が管理会計と言った感じでしょうか。

 

どのような分析手法があるかなどはケースバイケースですので細かく説明しませんが、多くの場合ここまでは一般的な経営管理部門が管轄している企業も多いのではないでしょうか??

 

ポイントとなるのは実は③以降で、殆どの企業にはそこまでの機能をもったファイナンス部門が存在していないと私自身は理解しています。

 

③Insight

では付加価値の高いファイナンス部門の基盤となるInsightとは何なのでしょうか? 

 

それは前述の「Analysisで実施される定量的な分析に加えて、ビジネスの市場環境や競合など、より戦略コンサルティングに近いレベルでの定性的な分析を交えることによって、営業や製造部門だけでは辿り就くことが難しいビジネスへの示唆を得ること」

と言い換えることができるでしょう。

 

このような示唆を得るために市場環境を理解する必然性があります。下記の記事で市場を理解していくためのプロセスを簡単にまとめてみました。

toshiyabe.hatenablog.com

 

 

 

さて、ファイナンス部門は単なる記録部門ではありません。会計や経理と聞けば大抵の人が単調でつまらない、バックオフィスの仕事だな、、、という印象を持っていると思いますが、考え方ひとつで事業価値を生み出す「ファイナンス」に生まれ変わらせることができるはずです。そのための第一歩がInsightを獲得することであり、すなわちビジネス自体への深い理解を前提とした独自の財務的解釈を示すことにほかなりません。

 

以上までが会計・財務の専門性を活用しなければプロセスさせることができない段階でした。4,5,6は更に変化を起こすためのリーダーシップを発揮するプロセスについてを示しています。

 

④Vision 

よくビジョンを示せ、といいますよね。あれです。これまでの分析から得たインサイトを使って、どこにどのような変化を起こすべきか、理想の状態は何なのか、を明確化させる必要があります。

⑤Communicate 

明確にしたビジョン(ゴール設定)をファイナンス部門、関連するビジネス部門と共有していきます。 *実務においては、ここが最も難関なところで、正直スムーズにできる人材はそんなに多くないでしょう、、、

⑥Drive Change & Excecution

最後にエグゼキューションです。やりきる、ということです。変革をドライブしていくのがリーダーの仕事であり、ファイナンスはビジネス部門の経営パートナーとしてしっかりとやりきることが求められます。

 

 

まとめ

いかがだったでしょうか? もともと考えていたファイナンスの職務範囲と比べて、明らかに縦に長く広がってると思いませんでしたか。

もちろん会社によって、あり方自体は大きく変わりますが、会社の生命線とも言えるお金の流れをコントロールし把握している部門が、その情報を利益創出に使わないのはなんとも残念ですし、全体として非常に損をしていると思います。特にスタートアップではいまいち経理全般やバックオフィスの仕事を後回しにする傾向が多く(仕方ないことなのですが、、、)、機会損失を被っているような気がしています。

今回の記事が、自分たちの会社でのファイナンスのありかたについて考えてみるきっかけになれば嬉しいです。

 

 

失敗から学んだ共同創業者を探す時のポイント

 

何か新しいことを始める時、1人でやるよりも誰かと一緒に複数で始める方が経験則的に上手く行くことが多いように思います。スタートアップにおいても同様で、シリコンバレーのY Combinatorなど、多くのアクセラレーターでは共同創業者を見つけることを推奨している現状があります。 今回はサイエンスとしての最初期のチームビルディングについて考えつつ、自分自身の失敗を通して学んだよりリアルな仲間探しの基準みたいなものを共有していければと思います。

 

 

 

www.slideshare.net

 

 

共同創業者のメリットとリスク

マイクロソフトの馬田さんが作っているスライドの中で、いくつか重要なポイントを挙げると、、、

 

共同創業者のメリット

・共同創業者がいたほうが成功確率が高い。

・それはスタートアップ期における実務的負担、精神的負担は1人で乗り越えるには過酷すぎるから。

・結果、共同創業者の有無によってスケールまでの時間が短縮される

 

共同創業者のリスク

・多くのスタートアップの失敗原因は経営陣内の問題

・ビジネスは帰れるが、チームは簡単には変えられない

 

といったところだろうか。

 

 

細かいことはスライドの方を詳細に見て頂ければと思うので割愛します。ここからは、自分の2度のスタートアップの立ち上げ→失敗を通じて学んだ最初期のメンバー集めに関するコツや考え方を共有したいと思います。

 

失敗から学んだ共同創業者を見つける際のポイント

 

最初に1人は特定領域・スキルに依存しない人間=なんでもやる人間

自分たちは新たな領域での動画サービスを考えていました。最初に動画ありき、かつ検証段階の前に、プロの映像製作者兼クリエイターを共同創業者として迎えました。これは結果としてビジネスモデルの変更可能性を狭くしたし、動画(特定スキル)が活用されない事業領域・ビジネスモデルへと変更すると決めたときに精神的・チームビルディング的にも大きな悪影響を及ぼす。うちの場合はその共同創業者が抜ける結果となりました。

 

お互いのコミットメント量を合わせる

最初の段階で自分自身がコードを書けない場合や人手がどうしても欲しい時、もっとも簡単に人を見つける方法に、既に他の仕事・収入がある人に空き時間でジョインしてもらうというものがあります。ビズリーチの南さんなんかはこの方法を草ベンチャーと名付けて話題にもなりました。

jp.techcrunch.com

 

ここで重要な事として、ひとりひとりのコミットメントや熱量を上手く調整して合わせていく必要があるということです。創業者がフルコミットメントにも関わらず、他のメンバーが週末のみや、平日19時以降のみ、などの勤務状況の場合、得てしてそれはチームのモチベーションを下げる方向性に働くことが多いように思います。

 

集めるべき人材のスキルセットを明確にするのは3人目以降

 最初の項目ともかぶりますが、共同創業者に必要なものは特定のスキルセットではありません。それよりもより総合的にビジネスを考えることができるロジックだったり、クリエイティビティのほうが後にも先にも効いてきます。どんなビジネスでも一緒にやってみたい、そんな風に思える相手を見つけることをおすすめします。

 

特定スキル人材のジョインしてもらうタイミング

スペシャリストはProblem-Solution-Fitの検証を行う時に部分的にジョインしてもらう(対価はもちろん払う。)仮説検証が進み、経営ステージが次に進むタイミングかつ、事業領域に一定の自信ができた段階で正式に入ってもらうのがいい。友人で起こしたスタートアップの場合、周りの人間伝いに必要スキルを持っている人材を見つけて、格安(あるいはタダ)でチームに入ってもらうことも多いと思いますが、ここはきっちり対価を払って、ある意味でサバサバした関係から始めるほうが事業継続判断→ピボットまでの流れをスムーズに行うことができます。

 

 

最後に。

共同創業者探し、最初期のチームビルディングはスタートアップの最も泥臭い部分の1つであると思います。誰もがスティーブ・ジョブズのように、親戚にウォズがいるわけではないし、そういったコミュニティーに属しているわけではないですから。ただ、上記であげたような点を少し考えながら、自分のこれまでの学校や仕事での仲間からあたってみるのがいいでしょう。

具体的なメンバー探しに活用することができるチャネルについてはまた別の記事で書こうと思います。 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

GE FMP(Financial Management Program)とは?

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前回、こちらの記事でGEのリーダーシッププログラムについて紹介しました。 その中でも、今回は特にFMP(Financial Management Programme)と呼ばれる財務経理に特化したリーダーシッププログラムについて紹介したいと思います。

 

toshiyabe.hatenablog.com



  

 概要

そもそも、このFMPとはなんぞや、ということなんですが、、、端的に言えば、エントリーレベル(職歴0~3年)向けファイナンス部門の幹部候補養成プログラムです。 2年間、半年毎に計4回のローテーションをこなしながら、財務・経理における専門性を身に付けていくという感じです。ローテーション中には、各期コースワークと期末のテストが課されていて、その勉強も同時に進めなければなりません。

 

 

www.ge.com

FMPは、財務・経理の専門性とリーダーシップを兼ね備えたリーダーを育成するためのプログラムであり、1919年にアメリカで創られた後、1990年代中ごろ日本に導入されました。将来、GEにおける財務・経理部門のリーダー的存在として活躍する人材に必要な、ファイナンス・ビジネス全般における知識や能力を養うため、(1) アサインメント(業務) (2) コースワーク (3) ビジネススキル/リーダーシップ研修 (4) フィードバック (5) ネットワーキング (6) リーダーによるリーダー育成等を通じた育成が行われます。

 

 

上述したように半年毎にビジネスや部署を変えながら仕事をしなくてはなりません。GEは典型的なMeritocracy=実力主義の会社ですから、常に期待値以上の結果を出さなければならず、そのためFMP生は短期間で効率よく仕事を覚え、何かしらの成果を出さなければならないのです。

 

多くの場合、それは業務プロセスの改善案や見直し、財務分析に基づいたコストカット、財務戦略の立案などです。経験したことがある方はわかると思いますが、これらを実行することは関連部門とのタフな交渉や調整などを必要としますよね、、

 

このように短期間で結果を出し、周囲にポジティブな変化を起こす=リーダーシップを発揮する経験を繰り返し積ませることで、文字通りGEの核であるファイナンスリーダーを育てようとしているのです。

 

ファイナンスリーダーという考え方自体になかなか馴染みがない人も多いと思うので、ファイナンスどのようなプロセスでビジネスに影響を与えていくのか、こちらの投稿をみてください。

 

toshiyabe.hatenablog.com

 

FMPの価値

FMP卒業後の選択肢 2年間のFMP修了後のキャリアの選択肢はかなり広いと言えます。

続きを読む

最強のリーダー育成機関 GE

 

人材輩出企業、リーダー育成機関、世界最強の企業、、、、幾つもの壮大な代名詞をもつGEであるが、そのタレント・マネジメントの核として据えられているのが各領域でのプロフェッショナルを鍛えるリーダーシッププログラムの存在である。今回のポストでは、このリーダーシッププログラムについて紹介していく。

 

参考までに、この記事にも目を通してみてほしい。

#01 GE取締役シニアHRマネージャー&執行役員インタビュー | ハイクラス・エグゼクティブ人材専門の転職・求人情報ならキャリアインキュベーション

リーダーシッププログラムの概要

各種のプログラムによって内容はもちろん異なるが、全てに共通していることとして、

「それぞれの分野に応じて専門性を高めるべく、スキルアップのための講座や、様々なディスカッションもプログラムには含まれています。しかし、一番の特徴は、実務を担い成果を上げていくことが求められる点です。いわゆる"研修"とは、そこがまったく異なります」

 

一例として、コーポレート・ファイナンス分野、将来のCFO候補生を育てるリーダーシッププログラムであるFMPでは、2年間で半年ごとに計4つの部署で成果を出しながら独自のコースワークをこなして行かなければならない。

 

FMPについて更に知りたい方はこちらで。

toshiyabe.hatenablog.com

 

リーダーシッププログラムの種類

FMPに加えて、

人事分野の HRLP (Human Resource Leadership Program)

経営戦略と人材戦略が密接に関わるGEにおいて、人事部門(HR)は、明確にビジネス・パートナーとして位置付けられています。HRLPは、強い組織を支えドライブする「GEらしい」人事部門のリーダーを育成することを目的とした2年間のプログラムです。

 

オペレーション分野のOMLP (Operational Management Leadership Program)

GEヘルスケアでは医療機器製造に関するリーン生産、生産技術、資材購買、生産管理、物流部門、製品品質管理、安全衛生管理等においてグローバルに活躍できるリーダーを求めています。OMLP(Operations Management Leadership Program)はGEヘルスケアのグローバルサプライチェーン部門のリーダーを育てる2年間のプログラムです。

 

セールス分野のECLP (Experienced Commercial Leadership Program)

コマーシャル部門とはセールス・マーケティングのことです。「お客さまにとっての成功は何か」「実現するために何ができるか」を考え、実行していくことが求められます。ECLPは、将来のコマーシャル(営業・マーケティング)分野でリーダーとなりうる人材を育成するためのリーダーシップトレーニングプログラムです。

 

など多様なプログラムが存在している。新卒に近いレベル向けのものから、中途採用をメインターゲットとしたものまであるが、一貫してGEの経営幹部を育てていくことを意図して構築されている点で、他企業のどのプログラムとも比較にならないと言える。